第34章 癒えぬ心を齧る傷
パタリと閉まったドアを見つめながら、どうにかこの重たい体を動かさねばと思った。このままでは誰かが入ってきてしまう。
「……いたい、い、たい、なあ」
無意識に口から零れた言葉はさして慣らされずに繋がったそこの痛みにか、それとも苦しく痛む心にか、自分でも分からなかった。けれどとにかく痛くて堪らなくて口にせずにはいられなかったのだ。
心も体も痛くてたまらないけれどどうにか体を起こして今は早く鍵を閉めなければと立ち上がれば、どろりと秘部から何かが流れ出る感覚と、流れ出たそれが腿を伝って。悲しみが溢れて、先程から止まることなく流れる涙が勢いを増した。
体が、重い、……心も、重い。やっとの思いで扉まで辿り着き、鍵を閉めてその場へとへたり込む。冷たい床と、秘部から流れ出た精液で冷えるけれどしばらくは動けそうにない。ぬるついて気持ち悪い感覚が先程のことを生々しく思い出させて。
「……なんで、こんなこと、」
止まることを知らずに溢れ出る涙と堪えきれない嗚咽が部屋に谺した。