• テキストサイズ

【ヒロアカ】許してね、ヒヤシンス【R18】

第32章 燻る残り火をどうか消して



「──?…───!……先生!」

 そんなことを考えていたら水分の話を一切聞いていなかった。少しだけ怒った様子でこちらを見る水分に「悪い」とだけ言えばもう一度要件を話してはくれたが。それでもやはりどこか上の空になってしまう。あぁ、こんな機械的な声じゃなくて心を揺さぶられるような声が、腰に響く艶やかなあの声をまた聞きたいのに。その声を聞いているのは今やきっと上鳴なのだろう。

「先生?具合でも悪いんですか…?」

 心配するように俺を覗き込む水分のその唇に瞳が奪われて。ダメだ、いくら職員室に2人だからといって、これは許されることじゃない。

「相澤せん、」

 許されることじゃ、ない。

──ッパン!

 久しぶりに触れた唇は震えていて、2人きりの職員室に乾いた音が響いた。

「先生、最低です」

「……そう、だな」

 涙を流す水分が酷く煽情的に見えて。俺は本当に最低だな。ただそう思いながら仮眠室へと水分を引っ張っていった。

 最低だと言うのなら、いっそのこと底辺まで落ちて、堕ちてやる。

/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp