第31章 夢はいつも唐突に消える
酔いに惑わされずに繋がる初めての夜は、心が痛くて苦しくて仕方がなかった。存在しないはずの愛を匂わせる行為が、こんなにも辛く哀しいなんて。
それなのに、確かに快楽を得る身体が酷く憎らしくて仕方が無かった。
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「これで、よかった、…の、かなあ」
昨日のことを思い出して唇から零れ落ちた言葉は誰に向けるものでもない。隣で眠る先生をちらりと見やってそっと溜め息を零す。
もう幾度となく身体を重ねてきたのに、昨夜の情事は先生との初めてのセックスよりもずっとずっと苦しくて悲しいものだった。私に触れる手つきも、眼差しも、最後の瞬間までも、全てが優しさとまるで愛のようなものが満ち満ちていたはずなのに。その優しさの裏に見え隠れする残酷さが邪魔をして。
セックスの時しか伝えてくれない好きの言葉はつまり、そこに愛など存在しないと物語っている。私のためについている優しくて残酷な嘘に気付かないふりをしながらこのまま先生のそばにいるのが正解なのか、わからない。わからないけれどそれに縋ってでも先生のそばにいたい。
一体、先生はどうして。私はどうしたら。