第30章 零れ落ちるシャングリラ(裏)
「消太さんが、欲しい」
心臓が、震え上がった。
求められることがこんなに心を揺さぶるなんて。
俺の背中に呟かれた言葉を耳に入れた時も思ったことだが、今はそれ以上に感情が揺れ動く。
「俺も、癒依が欲しい」
散々弄ってぐっしょりと濡れた割れ目に陰茎の先を擦りつけながらそう返せば、水分はまた曖昧に笑った。
これで、これでようやく手に入る。手に入れる気も、そんな勇気もなかった臆病な俺は、ようやく水分を手に入れる。
「ん、、あ、っは、ぁ」
「っ癒依、好きだよ、」
肉壁を割り入る陰茎に苦し気な声を漏らす水分の頬を一筋の涙が伝って。その意味を聞くより先に甘美な声が俺を呼ぶ。
「ん、あっ…、消太さ、ん、っ、、キス、して」
まるで懇願するように放たれた言葉に呼応して唇を塞ぐ。どうも切なげな声が漏れ出るその唇を塞いでただ愛を貪りたかった。
まるで何も満たされてなどいないというようなその瞳に気付かないふりをする。ようやく気付いたその瞳に隠される感情は考えないように。脳裏にちらつく金髪を振り払って。
手に入ったんじゃないのか。俺は、お前を。