第27章 音も無く忍び寄る終焉
「え、かみなり……?」
腕の中にいる水分がバッと顔を上げて上鳴を見るその頬はまたもや赤く染まっていて面白くない。
「デート、邪魔してすみません」
「……別に」
ヘラヘラと笑って去っていく上鳴を見送ればもぞもぞと動く水分が真っ赤な顔で俺を上げていて。
「なあ水分」
「あの、先生、いつまでこの体勢で……」
「もう終わりにしないか、この関係」
腕の中で小さくなってその体勢に困惑する水分を遮って告げる。そう、終わりにしよう、こんな、偽りだらけの関係は。
「そ、れは、つまり」
「いつまでもだらだらこんな状態でいるわけにもいかないだろ」
抱き締めたままだった体を離して水分と向かい合う。こんな往生で言うなんてムードの欠片も無いが、そんなことはどうだっていい。
「別れましょうって、ことで……?あ、いや、そもそも本来は付き合ってないしそれも変ですよね、」
「こんなことになった責任取らせてくれ」
「え?」
「水分……俺と、付き合って欲しい」
言ってしまった。
後戻りはもうできない。するつもりもない。どうかこの手を取ってほしいと祈るような時間は数時間にも感じられるくらい、重く長かった。