第1章 主夫①
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ピピッピピッ、と甲高い音が部屋に響いて、音を発する源に向けて振り下ろされる細い腕。
ガンッと、通常の何倍もの力で押し付けられた目覚まし時計は、まるで瀕死の戦士のようにゴロンと横たわった。
実際、奴は俺の知る限り8代目の犠牲者だ。
「おい、今日は早いんだろう?さっさと起きやがれ」
寝室に隣接しているダイニングキッチンで朝食を作っていた俺は、厚焼き玉子をくるりとかえしながら、大声でを呼んだ。
「うぅー…もうちょっと…あと5分だけ…5分だけ、リヴァイさん…」
布団の中から、まるで死にかけの人間みたいなうめき声を上げるに、俺はちょっと可哀想な気持ちになってしまう。
昨日の帰りも遅かったんだ。あと5分くらいなら寝かせてやっても大丈夫だろう。いざって時は俺が車で送って行ってやればいいんだから。