第15章 同世代の彼
土「お待たせ。」
「すみません、ありがとうございます。」
教職員長屋の半助の部屋で待っていると、お盆に湯呑みと急須、お饅頭を乗せた半助が食堂から戻ってきた。
土「いいんだよ、私が誘ったんだし。」
半助がコポコポと湯呑みにお茶を注ぐ。
「はぁ…、美味しいです!」
土「そうかい、よかった。お饅頭も食べてね。あ、あと忘れてた。これもどうぞ。」
土井先生が差し出したのは、冷たい水で濡らした手ぬぐいであった。
「あ、ありがとうございます…」
手ぬぐいを受け取り、腫れてるであろう目に当てる。
「…冷たくて…気持ちいい…。すみません、お気遣いいただいて…。」
土「ううん。何があったか話してごらん?頼りないかもしれないけど、話して少しでもゆうきさんが楽になるなら、いくらでも聞くよ。」
半助の優しさに再び涙が出そうになるのをグッと堪える。
お茶を一口飲み、少し無理して笑顔を作るとゆうきは今日あった出来事を話し始めた。
「夕方、綾部君の穴に落ちてしまって…。あ、それで足を痛めたんですけど。…私が落ちていることに気づいた綾部君も滝夜叉丸君も助けてはくれませんでした。自分で出れるはずだって、出れない演技をしているって。足を痛めたと言っても、それも演技と思われたみたいです。…滝夜叉丸君からは四年生は全員私を嫌いだと言われてしまいました(笑)」
そこまで話して悲しそうに笑うと、ゆうきはまたお茶を一口飲んだ。半助は優しく相槌を打ちながら、真剣に話を聞いてくれている。