第15章 同世代の彼
医務室から出たゆうきは、自身の手で口を塞ぎ、必死に声を押し殺したが、溢れ出る涙は止めることができなかった。
足をかばいながらフラフラと自室へ向かって歩みを進めていたところ、曲がり角で誰かとぶつかった。
「!!すみませっ…」
ぶつかったのが誰かも確認せず、顔を隠しながら急ぎ立ち去ろうとするゆうきの腕を、ぶつかった相手が優しく掴んだ。
?「ちょっと待ちなさい。」
ゆうきがハッとして腕を掴んだ相手の顔を見る。
「あ、土井先生…。すみません、ぼうっとして前を見てなくて…失礼しました…。」
ゆうきはすぐに顔を背けるが、半助は未だ腕を離さなかった。
「あの…先生?」
土「ゆうきさん、こっちを向いて。」
「…!!!」
半助の問いかけに、ゆうきは首を横に振って応えた。
土「なんで泣いてるんだい?」
その問いかけにもゆうきは横に首を振る。
土「…ちょっとお茶しないかい?」
「でも…私…きっと酷い顔で…。」
土「テストの採点中なのだが、一息つきたくて。今日は山田先生がいらっしゃらないので、話し相手が欲しかったところなんだ。どうか付き合ってくれませんか?」
年上の男性からの丁寧な誘いを、ゆうきは無下に断ることができなかった。
小さく頷き返事をすると、半助は掴んでいたゆうきの腕を優しく引き、肩を組んだ。
「///ちょっ…、え!先生!?」
土「足…痛いんだろう?肩を貸すよ。嫌なら抱っこするけど?」
「抱っ…!いえ…ありがとうございます…//」
ゆうきはそのまま半助の肩を借り、身を任せて歩くことにした。
「…土井先生って意外と強引なんですね。」
ポソッと呟くと、ん?何か言った?と笑顔で返される。
この笑顔は反則だとゆうきは思うのであった。