第2章 異世界に誘(いざな)われ
「「「????」」」
状況を飲み込めないのはその場にいる全員同じだった。
学「う…うーん…」
「あ、学園長先生!?」「学園長!?」「お気をたしかに!!」「追え!あの女を追え!」「曲者だ!ひっ捕らえろ!」「全員手分けして探せ!」「「「はいっ!!!」」」
ーーー逃げてきた方向から、大きな声が聞こえた。よくわからないが事態はあまり良くないようだ。私を追っているのだと悟った。
ここがどこだか分からないし、荷物を抱えていてうまく走れない。でもキャリーバッグを引いたら跡が残ってしまう。
どうしようと思った時、蔵のようなものが目に入った。「倉庫??あ、少し扉が開いてる。」
静かに扉を押し、中に入る。真っ暗で何も見えないが、色々な道具が所狭しと仕舞ってあるようだ。
「しばらくここに隠れよう…」
そこは忍術学園の用具倉庫であった。
ゆうきは、隅の方に丁度良いスペースを見つけ、自分と荷物にその辺に掛かっていた布を被せた。
キャリーバッグに背中を預け、膝を抱えた。
「頭の中を整理しよう…私旅館を目指して山道を歩いてたはずなんだけど…こけそうになったと思ったら、どこかから落ちて…ここはどこなんだろ。あのお爺さん大丈夫かな。」
申し訳ないことをしてしまった。大怪我させてしまったり、お亡くなりになってしまったらどうしよう…。
さっきはつい逃げ出してしまったけど…。でも異様な光景だった。あれは…忍者??しかも大勢の。逃げなければと思った。変なところに迷い込んでしまったと思った。
「何にせよヤバい人達よね。今時忍者なんて。現代日本にこんなヤバい施設があるなんて。」
外では私を探す声や、足音で騒がしい。頃合いを見て逃げ出さないと…何でこんなことになったんだろう。
外から差し込む光で、かろうじて昼間だということは分かる。もう少し暗くなるまで待った方がいいかもしれない。
ゆうきは膝を抱えたまま目を閉じた。