第12章 落とし穴
慣れない環境にどうにか順応しなければ、住む場所を与えてくれた学園長先生に恩返ししなければとゆうきは奮闘し、そつなく仕事をこなした。
学園での生活も5日目。少しずつ先生や生徒の名前も覚えていった。
今は事務の仕事が落ち着いているので、今日から仕事が終わり次第各委員会の手伝いをすることになった。今日は保健委員会。すっかり仲良くなった伊作がいるところでよかったとゆうきは胸をなでおろす。
正門前の掃き掃除が終わり、丁度忍たま達の授業も終わったところなので、ゆうきは医務室に向かうこととした。
「ん?医務室ってどうやって行くんだったっけ…?そういえばあの日は気を失ってる間に医務室に運ばれていたみたいだし…。」
まぁ誰かに聞くか、と歩みを進めたその瞬間…
ズボッッッッ
「キャー!!!」
ドシン!!
「アイタタタタ…。え、何これ?落とし穴?なんで校庭の隅に!?」
なぜこんなところに落とし穴があるのか、誰が仕掛けたのかと疑問が残るが、ゆうきは必死に登ろうともがく。
この落とし穴は学園が誇る天才的トラパーが仕掛けたものであった。忍術はもちろん、運動もほとんどやったことがないようなゆうきには這い上がることは難しそうである。加えて、ゆうきは落下した時にどうやら足を痛めたようであった。