第11章 賑やかな事務室
その後、小松田がぐちゃぐちゃにした別の帳簿が複数発見されたり、学園の門周辺の掃き掃除をしていたら、ゆうきの学園生活初日の手伝いが終わったのは夜になってからであった。
「書類の整理はゆうきさんになるだけお願いしたい」と、吉野先生に泣きながらお願いされ、ゆうきはさぞ苦労されているんだな…と少し哀れんでしまった。
来客時の対応も習ったが、入門表と出門表にサインをもらうのは小松田のどうしても譲れない仕事らしい。ゆうきが担当するのは、小松田が学園に不在の時ということになった。
「ふぁ〜〜、疲れた…。食堂のおばちゃんも、吉野先生も小松田君もみんないい人達でよかった。明日も早いからもう寝なきゃ。」
寝泊まりできて、3食付きで、優しい人達のもとで働けて、ここはいい職場だな〜とゆうきは思った。
あとは自分のことを不審に思っている人に信じてもらえるよう、一生懸命働くだけ。
……もし信用されないままだったとしても、元の世界に帰る方法が見つかるまでやり過ごせばいい。
ゆうきは泥のように眠りについた。