第6章 学園長室
七「学園長先生、連れて参りました!」
先頭を歩いていた小平太が声をかける。
頭の中でグルグルと考え事をしていたゆうきは、ここでやっと学園長の庵に着いたことを知った。
学「うむ、入りなさい。」
七「失礼します!」
小平太がガラッと障子を開けた。
下を向いて歩かされていたゆうきがそろっと顔を上げると、そこには予想より多くの人が待機していた。
床の間の前に鎮座している老人が学園長で間違い無いだろう。その脇に黒い忍者服の大人達、学園長と反対側の下座には群青色の忍者服を着た少年達、そして入口側にはゆうきを連れてきた少年達と同じ深緑色の忍者服を着た少年達が座っている。所々二列になりながら、この広いとは言えない庵に全員で四角形を描くように並んでいた。
ゆうきはそのど真ん中に座るよう促され、恐る恐る腰を下ろす。小平太、伊作、文次郎、留三郎も入口側に着席した。
学「さて…皆揃ったの。
お主、名は…報告では臨寺ゆうき…じゃったかのう。」
学園長の第一声にゆうきはびくっと肩を震わし、勢いよく頭を下げた。
「は、はい!あの…先ほどは大変失礼致しました…。しかも、気が動転して逃げてしまって…!どうか非礼をお許しください。本当に申し訳ございません!」
学「まぁよいよい。頭をあげなさい。」
「…お怪我はございませんでしょうか。」
ゆうきは遠慮がちに顔を上げた。
学「無傷じゃ!この通りピンピンしておる!!何しろ若い頃は天才忍者と呼ばれておったからのう。あれくらいのこと、どうってことない。」
学園長は誇らしげに笑い飛ばす。
竹谷「よく言うよな、しばらく伸びてたのに。」
尾浜「八、聞こえるぞ。」
山「学園長…では本題に参りましょう。」
学「山田先生、そうじゃの。」
オホンと咳払いをすると、学園長はゆうきに目をやった。
学「それでお主は何者で、どこから来たのじゃ?」