幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第2章 グリモワール授与式と、私の道
本棚にあった本が宙を浮き、持ち主の元へと向かう。ページの量や本の大きさは人それぞれ。
「どきどき!わくわく!…………どきどき…わくわく………」
私たち以外の人達がどんどんグリモワールを手に取っていく。私はキョロキョロと辺りを見渡した。もうグリモワールが現れていないのは私たちだけとなった。
「……え…なに?もしかして貰えない??とどどどうしよう!?ユノ兄! アスタ!!」
真っ青になりそうな顔であわあわする私。アスタは来いっというポーズのままだ。そんな私たちの様子を見て、主は一言。
「えー……また来年」
「「ええええええええ!?!?」」
私はアスタと顔を見合わせ、そう叫んだ。そして、隣で1人冷静に立っているユノ兄の腕を掴んだ。
「ユ…ユノ兄!! どうしよよよよ!?!?」
「……落ち着け。……来たぞ」
しかし、真っ直ぐ前だけを見るユノ兄の言葉に、私は首を傾げた。
「え? …あっ!?」
私もその方を見ると、なんと光輝く本がユノ兄の元に舞い降りたではないか。そして、その次に私の元へと舞い降りた。戸惑いながらも、ユノ兄がその本を手に取ると同じように私も本に触れる。じんわりと温かいものが体を伝っていき、思わず笑がこぼれる。
「お、おい…アレって…四つ葉じゃ…」
私がホッと胸を撫で下ろしていると、ふと周りが騒がしいことに気づいた。皆が皆、私たちの手元のグリモワールを指さしている。
「四つ葉?」
本をマジマジと見ると、確かに表紙に四つ葉の刻印のようなものがある。ユノ兄のにもだ。
「わぁ!ユノ兄とお揃いだ!」
自分のとユノ兄のグリモワールを何度も見ながら、私はそう呟いた。本をペラペラと捲ると、文字が書かれてるものが数ページで、ほとんど白紙のページだった。
「ふーん。グリモワールってこうなってるんだ」
パタンと本を閉じると、ユノ兄が魔法帝になる宣言をして、周りが騒ぎ始めている時だった。ふと、隣にいたアスタがユノ兄の方に歩き出すのに気づいた。