幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第1章 グリモワール授与式前
「あ! クレア、おかえりなさい!もー!アスタに言ってちょうだい」
ため息をこぼすシスターの足元に倒れているのは、シスターの愛の聖拳突きをもらったアスタがいる。私は呆れた顔で、彼の頭をツンツンと突っついた。
「もうこれで何度目? もう諦め……」
「むぁだだぁぁぁーーー!!」
「きゃー!」
ガバッと起き上がる諦めの悪いアスタ。私は呆れてそろそろ彼を止めようとし……そして、
「わっ」
スカートの裾を踏んずけてしまい、体勢が崩れてしまった。これだから、スカートは嫌いなのだ…。つい前までは、私もアスタたちと一緒のおさがりの服を身につけていた。しかし、私もそろそろいい歳だということで、神父様が私のために頭を下げて貰ってきてくれたのだ。
「クレア。お前は女の子だ。いつまでも、アスタたちと同じというわけにはいかないことは分かっているだろう?」
申し訳ないと思う反面、私は少しショックを受けた。私は女であり、いつかはどこかに嫁がなければならない。意外にも、親無しの捨て子の私にも、貰ってくれるという人がいたそうだ。教会への寄付も惜しまないらしい。15になり、グリモワールを貰ったら……私はその人のところに嫁がなければならないのだろう。これは、そのための簡単な花嫁修行。でも……
「ううっ……スカートなんて…動きづらいだけじゃん……こんな構造だから、転んで痛い思いを………ん??」
いつまでも来ない痛みに恐る恐る目を開けると、ぽすっと誰かに支えられた。
「ユノ兄!」
「怪我はしてないか?」
私は大きく頷くと、すでに彼の足に擦り寄っているアルルと反対側に行き、彼の腕に抱きついた。