幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第1章 グリモワール授与式前
「クレア!すまん!怪我してねぇか!?」
アスタが慌てた様子でこちらに来ると、私は笑いながら首を振る。
「私が勝手に転んだだけだから。アスタは悪くないよ」
そう言うと、アスタはそうか!と返し、そして、じーっと私のスカートを見た。
「やっぱ、それのせいじゃねぇか?」
「え?」
「そのヒラヒラした服。お前、それ着だしてから転ぶ回数増えたし」
「あー……」
まずい…。私は思わず視線を逸らした。私の結婚の話は、神父様とシスターしか知らないことだ。特にこの2人に知られたら、色々言われること間違いなし。私はニコッと笑った。
「だって、スカート可愛いでしょ?同じ年の女の子達、皆着てる……」
「それ、本当に好きで着てるのか?」
首を傾げながらそう問いかけるアスタ。私は笑顔が固まるのが分かった。この兄は…無自覚で鋭い時があるのだ。私がなんと返そうかと迷った時、強い風が吹き、アスタが倒れた。振り返ると、ユノ兄がため息をついていた。
「なに、クレア姉いじめてんだ!アスタ!!」
倒れたアスタを足蹴にするナッシュ。ユノ兄はシスターの手伝い。私はホッとして、買い出しの物でご飯の準備をするのだった。