幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第1章 グリモワール授与式前
人間は魔人に滅ぼされるかに見えた。それを救ったのはたった一人の魔道士だった。彼は「魔法帝」と呼ばれ、伝説となった…
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遠くで人々の歓声が聞こえ、私は買い物の手を止めた。
「あらあら。やけに王都は騒がしいわねぇ。魔法であんなに盛り上げて」
「魔法帝が凱旋したらしい!」
隣で八百屋のおばちゃんたちがそう談話しているのを聞き、私は買い物を終わらせると慌ててくるりと回れ右をした。
「お!クレアちゃん!今日も教会の手伝いかい?偉いなぁ!」
「おじさん!こんにちは」
すれ違う人達に挨拶を返しながら、教会が見えてくると、私は思わず大きな声で叫んでしまうのだった。
「アスタ、アスタ!! 魔法帝が今ね……」
「俺と結婚してくださぁぁぁあいいいい」