幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第2章 グリモワール授与式と、私の道
トントン…ドアをノックする音。私は子供たちから離れ、シスターや神父様を見た。
「……今までありがとうございました」
そして、最後まで私の手を離さなかったアルルをナッシュに託し、私は扉を開いた。そこにいたのは………
「……どこに行くんだ?」
ボロボロのユノ兄と何故か同じくボロボロの姿で、涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃのアスタがいた。
「……なんで二人共そんなにボロボロなの!?」
喧嘩でもしたのだろうか?私はグリモワールを取り出し、彼らの傷を治そうとした。しかし…
「おまっ…え!! なんで…け…けっこ……なんか………!!!!」
その前にアスタが私の腕を掴み、そう言った。私は少し驚きながらも、ユノ兄の顔を見て、きっとどこかで話していたのを聞いたのだろうということを悟った。
「私は2人みたいにしたいことないし…」
「俺、もう!お前の分も魔法騎士団の試験…申し込みしちゃったんだけどぉぉぉぉ!!」
アスタの言葉に私は思わず、彼の肩を掴んだ。
「はぁ!?」
何勝手にしちゃってんの!?私は何度も何度もアスタの体を揺さぶった。
「だ…だって…てっきり俺たちと一緒に魔法騎士団になるもんだと…あ、ちょっと待ってクレア。マジで吐きそう…」
「うるさい!!」
思いっきり彼の体を押し、彼はコロンっと倒れた。アスタの勝手な行動にだんだんと腹が立ってきたが、目の前に馬車が現れこちらに近づいてくるのを見れば、頭が冷静になる。
「…私は女だよ、アスタ。ずっと2人と一緒ってわけにはいかないよ」
「なんで一緒にいちゃいけねぇんだ! 俺たち兄妹だろ!」
きっぱりとそう言うアスタに私はため息をついた。そして、彼の前に座り、そして彼の傷を治す。
「…これからは、傷治せないから…無茶しないでね」
「断る!」
「はぁ!?」
私はさらに頭を抱えた。そして、ユノ兄を見れば、ユノ兄はユノ兄で馬車をぼんやりと見てるし…本当、最後までこの兄たちは私を振り回すんだから。