幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第2章 グリモワール授与式と、私の道
「クレアお姉ちゃんすごいね!!ユノお兄ちゃんと同じ四つ葉だって!!!」
子供たちの手を繋ぎ、私は彼らに微笑んだ。正直、四つ葉の何が凄いのかよく分かってないけど。
「お姉ちゃんもユノお兄ちゃんと一緒に魔法騎士団になるの??」
「ん?ならないよ」
だって、魔法帝ってこの国の王様と軍事に関しては同じような権限を持ってるんでしょ?私にそんな力ないって。
「おい」
不意に手を捕まれ、私は振り向いた。すると、少し身なりのいい同じ年頃の少年が2人。
「はい?」
なれない所で道に迷ったのだろうか?しかし、少年ふたりはニヤニヤとしながら、私の肩を抱いた。
「お前は孤児だが、四つ葉のグリモワールを貰っていたな?」
また四つ葉だ。私は段々近づいてくる顔に少し引きながら、曖昧に頷く。
「はぁ…それが何か?」
すると少年たちはニヤリと笑った。
「我らの相手をすることを許してやる。名誉に思え」
「いえ、結構です」
なんだ。大した用でもないじゃない。私はきっぱりとお断りすると、するりと彼らの腕を抜けた。
「なっ!? 貴様!! 孤児のくせに……」
どんっと子供たちを押しのけようとする少年たち。このままでは怪我をしてしまう。私はため息をついた。どこにいてもこういう輩はいるものかと。私は彼らの周りの空気を重くした。
「なっ!?動けな……」
「ゴホゴホッ」
息をしづらそうに顔を歪める2人のもとへ行き、私はちょんっと彼らの眉間を押した。軽い力だと言うのに、2人の体は地面へと倒れた。
「ごめんなさい。私、結婚するんで」
そして、魔法を解くと、2人はもう絡んでこなかった。私の魔法が未知数だったからだろう。しかし、よほど気になったのか、彼らのひとりが口を開いた。
「結婚!? これほどの力を持って、魔法騎士団にはならないのか!?!?一体どこに………」
私は混乱している子供たちの手を引き答えた。そして、別に支障はないだろうと口を開いた。
「シルヴァ家に、です」