第5章 リヴァイ★疑惑
「うっす、ドイツ人2人組。クリスマス前だってのにまた2人っきりでつるんでるのか?あいかわらず仲良しだな。」
「静雄、君に言われたくない……」
「……………。」
リヴァイはまたかと、突っ込む気もうせてしまっている。
「一緒にするなよ。俺はお前達と違ってちゃんとクリスマスの予定はあるぞ。彼女はいねーがな。」
静雄は白い息を吐きながら得意気に答える。
「………新羅か?」
「あぁ、新羅の家で恒例の鍋パーティーだ。」
「…何故私達は呼ばれてないんだ。新羅の家でクリスマスの鍋パーティーは去年も一昨年も、その前の年も一緒にやったではないか。」
「はぁ?知らねぇよ。さすがに今年は2人の仲に水をさすのは悪いと思ったんじゃねぇのか?」
エルヴィンが何かを言おうとしたが、タイミング悪く静雄のスマホがなりだした。
「おっと、トムさんからだ。じゃあまたなー。」
静雄は話の途中だったが、後ろ手を振りながら池袋の人混みの中に消えていってしまった。
エルヴィンがらしくもなくため息をつく。
「なぁ、リヴァイ。いっそのことキチンと交際宣言をしたほうがいいのではないか?」
リヴァイの眉間のシワがより一層深くなる。
「おい!寒さで頭イカれたのか!鍋が食いてぇなら自分から連絡とりゃいいだろうが!」
エルヴィンはリヴァイとの恋仲を疑われても、あまり強く否定しないばかりか、若干嬉しそうな顔をする。
そうした態度がより一層誤解を生んでいるのに、エルヴィンはお構いなしだ。
リヴァイがイライラするのも無理はない。
「もう俺は帰るぞ変態野郎。」
「待てってばリヴァイ。軽い冗談だ、本気にするな。」
「その気持ち悪ぃ顔はどこまでが冗談かわからねぇんだよ。」
「ハハハ、リヴァイは手厳しいなぁ。」
エルヴィンは女の尻を追いかけるように後を追うと、リヴァイと一緒に帰っていった。