第5章 リヴァイ★疑惑
自宅に着く頃には12時をまわろうとしていた。
しかし真珠は、リヴァイの帰りがどんなに遅くなっても、かごから出たがる。
それを知っているリヴァイは急いでシャワーを済ませると、軽く掃除してから放鳥してやる。
「(今日も遅かったですね。お疲れ様です。)」
ちょこんと肩に乗った真珠がリヴァイを見つめる。
そんな表情を見せられてはたまらないなと、リヴァイは冷蔵庫からビールを1本あけて持ってきた。
「あぁ、年末にむけては地獄のように忙しい…今日もクタクタだ…遅くなってすまなかったな…1本だけ付き合ってくれ。」
真珠の背中に頬ずりをすると軽くキスをした。
「(もちろんです!)」
真珠の匂いを堪能しながらビールを飲んでいると、ふとエルヴィンの言葉を思い出した。
「真珠、日中ずっと1人で寂しいとか思ったことあるか?エルヴィンの野郎に、もう1羽仲間を買ってやったらどうだと言われたんだが……」
コイツには俺さえいればいいと独占欲の様な感情もあったが、真珠はリヴァイが帰ってくるまでずっと1人なのだ。
必要ないとエルヴィンには言い切ったが、真珠のためを思うと、なんとなくひっかかりがあり、本人に直接聞いてみることにした。
すると真珠は肩からおり、テーブルの前でリヴァイと向き合うと、ちょこんと頭を下げた。
頭をコチョコチョとなでてやると右も左もと催促をされる。
「(私はリヴァイさんがいてくれればじゅうぶんです。)」
その表情はまるでそんなことを言っているようだった。
「了解した。俺もなるべく早く帰るようにするから待っててくれ。」
真珠は嬉しそうに肩までよじ登ると、リヴァイの耳たぶを甘噛みして喜びを伝えた。
こんなやりとり、はたからみればリヴァイの独り言であろう。
リヴァイを知らない人間がこんな姿を見れば、ただの寂しい独身男にしか見えないのは確実だ。
しかし、
「(はっ、なんとでも好きにいいやがれ……)」
と、リヴァイは強気に心の中で吐き捨てる。
リヴァイは言葉など話せなくてもわかりあえてるこの関係がとても心地良いものになっていた。
まわりの反応など、もはやどうでもいいようだ。