第2章 年下のくせに生意気なのよ
「冗談、さっきからかわれたお返しだよ」
固まる私の前で三郎は顔をくしゃっとさせて
笑う。
…やってくれんじゃないの。
「大人をからかうなっ!」
私は三郎の顔を両手で挟んで思い切り
グリグリと捏ねくり回した。
「!? っ、ちょ…や、やめろよっ…
い、いひゃいってぇ…」
「あっはっはっはっ」
三郎を虐めるのが楽しくてつい口から
高笑いが出てしまう。
目に涙なんて浮かべちゃってかーわいわねぇ。
性格は生意気だけど私もこんな可愛い弟が
欲しかったわ。
その時だった。
「あっ!?
てめっ、俺の弟に何してくれてんだ!」
「二郎!?」
「え!?…ちょ、何!?
どこに連れてこうって言うのよ!
助けて!誘拐される!」
突如として現れた二郎がつかづかと近付いて
来たと思ったら私の手を掴み
どこかに歩いていった。
そして連れてこられたのはお風呂場の脱衣場。
ダン!と勢いよく私は壁に押し付けられた。
「は、離して!痛いってば!」
掴まれた手首が痛くて訴えれば二郎は
無言で手を離す。
な、なんなのよ…。
「…兄ちゃんだけじゃなく三郎にまで
手を出すつもりかよ」
「は?」
「とぼけんじゃねぇよ!さっき、三郎に
き、き、キスしてただろ!?」
言ってる意味が分からなくて聞き返したら
二郎からとんでもない単語が飛び出てきた。
キスだァ〜〜〜????
私が?三郎に?
ないない。未成年に手を出すとかない。
相手は10歳も年下よ?ないわー。
「してないけど」
「え!?」
う、うそだ!と、二郎は顔を赤くする。
そんな事言われてもしてないものはしてない。
角度で勘違いしたんじゃなかろうか。