第1章 愛しい君は半透明人間
暖かく、陽気の良い日だった。
リヴァイは庭に椅子を持ち出して、大きく穴の空いた壁を眺めていた。その傍らにはいつもと変わらないの姿がある。
「、少し、眠くなった。手を握っていてくれないか」
差し出された手はの小さな手より一回り大きく、かつて人類最強と呼ばれた男にふさわしく老いてもなお力強さをたたえていた。
「はい、こうですね」
はリヴァイの椅子の横にひざまずくと、そっとその手を握る。
「なぁ、お前は死んじまったが…それでも俺の側にいてくれた。俺は…本当に幸せだった」
「急にどうしたんですか?リヴァイさんったら…」
ぎゅっ、とはリヴァイとつないだ手に力を込める。
「お前は…、幸せだったか?」
昔と変わらない、リヴァイの美しい切れ長の瞳と目が合って、はフワリと花の咲いたように笑った。
「とても…とっても幸せでした。貴方と過ごした日々は、私にとっての宝物です」
「…そうか、ならいい」
ふっと笑って、リヴァイはゆっくりと瞳を閉じた。