第1章 愛しい君は半透明人間
先日行われた壁外調査において、は死亡した。
亡骸は見つかっていない。
現場の状況を見る限りではそう判断することが妥当であり、現に調査兵団が壁内に帰還してしばらく経った今でも、が戻ってくる気配が無いのが、死亡を裏付ける何よりの証拠と言えた。
「、どこだ?」
リヴァイは毎夜、こうやって夢の中を彷徨っている。
一人、暗い森の中を歩き回り、の姿を探す。
頭上にそびえる巨大な木々にはうっそうと葉が生い茂り、まるでの姿を隠しているかのようだった。
「兵長っ!」
すぐ後ろで悲鳴が上がる。
振り返ると、そこには巨人に掴み上げられたの姿があり、巨大な手がの細い手足を引きちぎるところであった。
耳をつんざくような悲鳴がリヴァイの鼓膜を揺らして、そこで毎晩目が覚める。
そして、悲鳴をあげていたのは自分自身であったことに気が付くのだ。深い夜の闇は、先程まで見ていた夢の続きを思わせる。
その闇の中、リヴァイは再び眠ることなくじっと朝が来るのを待つのだ。眠ってしまえば、またあの夢を見てしまうから。