第37章 雨@黄瀬@
涼太くんだ
うっわぁ
超速い
ぶつかられたらひとたまりもないであろうスピードで
走ってくる涼太くんをかわすため
廊下の端に移動した
なのに涼太くんは
わざわざ進行方向を私へ向ける
「えっ…ちょっちょっ…ちょっと、こっちくるの!?」
廊下の左右を行き来して
衝突を避けようとするも
その度自分へ直進する涼太くん
なんか…道でよくある自転車と歩行者の譲り合いみたいになってる……!
いくら廊下が長いと言えど
彼の足で全力疾走したため、あっというまに距離が縮まる
「ぶっぶつかるっ!あぶなっ!」
焦りすぎて噛みまくった私の、目の前で
涼太くんは急ブレーキをした
「ハァ…ハァッ…
ユウ、っち…ゼェ…あの、さ…。」