第1章 プロローグ
§ミコside§
プツリ―――。
とでもいうべきか、夢はいつも、ヴィランからオールマイトに助けられるところで切れる。
夢に出てくる、××とは、だれなのか。
いつもわからない。
いや、わかってはいる。名前は呼んでいるから。
だが、夢から覚めるといつも忘れてしまう。
昔に、何があったのだろうか。
私はどうして助けられたのだろうか。
父と母はどうして死んだのだろうか。
考えてみれば疑問は出てくるばかり。
私は5年より前の記憶が無い。
オールマイトから助けられた以降の記憶しかない。
どうしてこうなったのか、全然わからない。
覚えているのは、薬の、鼻につく匂いと___、
ただただ痛いということと___、
“轟焦凍”という単語だけだ__。