第2章 個性の暴走
§轟side§
「ミコはな、ヴィランに両親を殺され、誘拐された。ここまではしっているだろう?」
「あぁ、知ってる。」
「その誘拐された後、実験台として扱われていたらしい。」
実験台…!!??
「どうして隠してた…!!!」
ギリィと奥歯が擦り減るくらいに鳴る。
ミコがいなくなった後、何度も聞いたのに。
教えてくれなかった事、何も出来なかった自分の不甲斐なさをまとめて握り潰すように拳を握る。
握った拳は爪が食い込んで血が出そうだ。
「実験台として扱われ、記憶を失った。オールマイトが助けた。
考えてみろ。ヴィランに両親を殺され、そのヴィランに誘拐され、実験台にされた。
記憶を無くしても可笑しくはない。」
そりゃそうだ、10歳で親が目の前で殺された。
誘拐までされ、実験台。
普通なら死んでも可笑しくない。
「アイツは、実験台にされた結果人間以上の人間になってしまった。
人間かどうかも怪しいくらいに。」
だからか…、あの個性は小さい頃見たことが無い。
ミコの個性はメモリーブックのみだったはずだ。
「だから、個性が暴走していたのか。」
「そこまでは知らないが、またミコに会ったのなら、縁があるのだろう。
ちゃんとみていてやってくれ。」
驚いた。このクソ親父がこんな事を言うなんて。
言われなくたってわかってる。
今度こそ。今度こそは。
「わかってる。」
俺がお前を救ってやる_。