第2章 人間関係
彼女と彼の関係 side凍季也
「先輩?」
昼休み、凍季也が窓の外で降る霧雨に憩っていると向かいに座る失礼極まりない隣人が凍季也の顔を覗き込み、そう話しかけた。言っておくと凍季也は喋りながら食事をすることを好む人種ではない。加えて、先程気まぐれにこの空き教室を覗きこのシチュエーション("一匹狼の水鏡"が"アパートの隣に住んでいる生意気な後輩"と"二人きりで昼食を摂っている"というシチュエーション)を目にした生徒に二人の関係を誤解されたこともあり、凍季也は不機嫌だった。が、向かいに座っている彼女はそんなことを気にかけてくれるような人間ではない。凍季也のことを愉快な玩具という風に捉えている節すらある。
何故先日この学校に転校してきたばかりの凍季也が著しく性格の悪い後輩と二人きりで昼食をとる羽目に陥っているかと言うと話は一週間程前に遡る。