第2章 花咲くまにまに短編・SS
そうしている間にも離れない二人をどうしようかと困っていると
「いい加減に名前から離れてくれないかな?」
露骨に嫌そうな声を出す倉間さんに驚いた宝良くんは飛ぶように私から離れた
「す、すみませんっ
って、なんで俺が謝らないといけないんすか?!
だって名前は俺の妹っすよ?!」
「でもだーめ 今は僕がこうしたいから」
さっきより強く抱きしめられて顔が赤くなる
それを見て面白くなさそうな宝良くんが
「じゃあ、俺は手だけで我慢します
これだけは倉間さんがなんと言おうと譲れません!」
といって手を握ってきた
こころなしか震えているようにも思えるその手がなぜだか暖かく感じて
こっそり握り返した
「しょうがないなー 本当に手だけ、だよ」
倉間さんはそういったが内心は違ったのか少し嫌そうな顔を一瞬だけ見せた
目の前には倉間さん、隣には宝良くん
ふたりには申し訳ないけどもう少しだけこのままでいたいと思った
誰よりも愛しい大切な人
私にはもったいないくらい輝いて見えた