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ジャンル混同短編・SS収録1

第2章 花咲くまにまに短編・SS


怪談



まだ6月だというのに暑い日が続く

ひょんなことで百物語が始まったわけだが、原因となった本人はガタガタ震えている
あれで気づいてないとでも思っているのだろうか

特に面白みもないトップバッターに続き私の番で話し出したところ
鈴音ちゃんに話を言い当てられ断念、のはずだったのだが・・・

「へ?皿が足りないってどういうことだよ?」
という宝良くんの声を聞いて面白くなってしまった私は倉間さんに断って
話をさせてもらえることになった

私は姿勢を正して向き直り

『えー、こほん
あるところにお菊という女がおりました
お菊はある屋敷の召使いでございます

ある日、お菊が掃除をしていると、
旦那様が大層大事にしておられたお皿の10枚のうち一枚を割ってしまいました』

「そ、それで?」

『お菊は叱られることを恐れて黙っておりましたが、
とうとう見つかってしまいました
怒った旦那様はお菊をそのまま井戸へ放り込んでしまいました』

「い、一枚くらいしょうがないじゃんか?な??」
何か懇願するかのように疑問をぶつける宝良くん

「んー、そうかなー?僕も大事なものがなくなったらそのくらいするかもよ?」
少し意地悪そうな笑みを見せる倉間さん

「ひいっ!」
「あっはは、冗談だよ さすがに井戸へ放り込むまではしないってば」
「俺をからかってるんすか?!ひどい!」

『ここからが本番なんだけど・・・』
「え?終わりじゃないのか?」
「あったりまえじゃない!これで終われるはずないわよ!」

せきたてる鈴音ちゃんに不安を隠せない宝良くんが面白くて
つい笑いそうになったけれどそれをぐっと堪えた



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