第1章 Fate短編・SS
「そんなに気にしてどうする お前がどう思おうが我のマスターはお前だぞ」
沈黙に耐え切れなかったのかギルが言い張るなり私の事を
引っ張って自分の胸に引きずりこんだ
そう
冷たくて硬い鎧の餌食になった
と、思っていた
けれど、実際に感じられたのは何故だか温かい温度だった
『ギ、ル…?…む、ん…』
私が疑問の声をあげるのと同時に柔らかい感触が唇を覆った
意味がわかった瞬間顔が赤くなったがそんなことも御構い無しに
貪りくらうギルの行為は止まらなかった
だが、さすがにこれ以上の事はされたくなかったので
死ぬ気で抗議した
『んんっ…、ギル、や、めて!』
鎧の感触が無かったのはキスする前に装備を解いたからだと
後から分かったものの、
咄嗟に突き放されたギルは面白くなさそうな顔をしていた。
しかし、どうやら興を削がれたといった雰囲気を漂わすだけで
特に何かしてくる様子がなかったことに安心した
殺されることはなさそうだ、と
「時に名前、この先何があろうと我から逃げることはできないと思え」
そういって意地が悪そうに笑みを浮かべるギルに私からもお返しする
とびっきりの笑顔で。
『私だってギルの側から離れないんだから!』