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菊丸英二誕生祭:短編集

第9章 2018年 誕生日おめでとう。



そして不二くんについてきてもらったもう一つの理由。

「不二くん、もう一つ、…というか、これが本題なんだけど、テニスショップに連れて行ってほしいの。なんだか一人じゃ入りづらくて…。」

「それで僕が呼ばれたんだね。いいよ、行こうか。」

「ありがとう!」

テニスショップについて真っ先に向かったのはテニスボールがあるところ。
テニスボールにみんなのメッセージを一言ずつ書いたらどうかなって、思ったんだけど…

「これじゃ無理かな…。」

「…ん?」

テニスボールを手に取って呟くと、顔をのぞかせる不二くん。
ことの経緯を伝えると、さすがテニスプレイヤー。いい案をくれた。

「ソフトテニスのボールならかけるんじゃないかな。硬式のボールに書くにはサインが精いっぱいだね。それと…こんなの見つけたよ?」

そして、その案と笑顔とともに私に差し出してくれたのは、“おめでとう”とプリントされた硬式のテニスボールだった。
私は迷わずそれを買うことを決め、同時にソフトテニス用のボールを一つ購入した。

「不二くん、今日はありがとう!お礼になるかわからないけど…。」

別れ際に手渡したのは、スポーツタオルだった。
さっきのテニスショップで売っていた、ちょっとかっこいい感じのそして手触りの良い…と感じたもの。
タオルなら、練習でも使えるかと思って。

「ありがとう。大切に使うよ。…でも、こんなところ見られたら英二に怒られちゃうかもね。」

私は苦笑いを浮かべてみせた。

そして翌日からこっそりボールに部員からのメッセージを書いてもらうことに成功。
あとは当日を待つのみだった。

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