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第5章 頼れる人






警察に写真と最近の視線の話をしてみると、家の周りの警官の巡回回数を増やしてくれる、との事だった。
ただ、相手がどんな人かもまだわからないし、まだこちらとしては何も出来ない、という事だった。

まぁ、それだけしかできないって言うのもわかる。
私も探そうにもどうしようもないのだから。
警察署を出て、一緒に家に戻ろう、と歩いている最中。

「太輔くん、付き合ってくれてありがとう。」
「いえ、気にしないでください。全然役に立ってないですし」

そういって苦笑いをする。
そんな事は無い、隣にいてくれただけで大分心強かった。
それを伝えると、とても嬉しそうな様子だった。

「何かあったらすぐ連絡ください。」

そう言って彼は、メモに書いた電話番号とメールアドレスをくれた。
真上に住んでますから、何かあったらすぐ飛んで行きますよ!と言ってくれた。
なんてやさしい人なんだろう。

マンションの私の部屋の前まで彼は送り届けてくれた。

「わざわざありがとう」
「いいえ。本当に何かあったら連絡してくださいね?」
「ありがとう」
「それじゃあ。」

そう言って彼は自宅へ戻っていった。





「あ」

そうだ、何か彼にお礼をしなきゃ。
ここまでしてもらって何も返さないわけにはいかないじゃない。
でも彼のこと何も知らないや…あとで香奈に相談してみよう。

外を見ると、空は厚い雲がかかり、まだ昼間なのに暗くなってきていた。
その天気が、私の気分を暗くさせる。

「…やだな…」

そうつぶやいて、私は窓のカーテンを閉めた。
そんな事ないのかもしれないけど、見られてる気がした。
部屋を見られるなんてすごく気持ち悪い。
これからしばらく、カーテン開けられないかも。


早く捕まってくれればいいのに。


そう祈って、握った拳に力を込めた。




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