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第4章 黒いもの






出かける準備をし、戸締りの確認をしていると、ベランダに何かが落ちていた。
ベランダの窓を開け、見てみると、何か黒い布のようなものが落ちている。

私、こんなもの持ってたっけ?洗濯物取り込むときに落ちちゃったのを気付かなかったのかな…
と若干不審に思いながらも、その布をつまんでよく見てみると…


男物のボクサーパンツだった。




…何!?


頭の中がパニック状態になる。
それがパンツだと気づいた瞬間バッと手を放し、それはひらひらとまたベランダに落ちる。

なんでこんなところにあるの!?
昨日の写真が脳内でグルグル回る。誰のなのこれは何のために誰が…?!


―――ピンポン

そんな時、玄関のチャイムが鳴った。
誰!?このタイミングで…?!


恐る恐るドアホンを見てみると、玄関に写っていたのは。


「…太輔、くん?」


知っている顔である事に少し安心し、玄関に向かい扉を開ける。

「おはようございます、さん」

そういって彼は朝から満面の笑みを浮かべる。
その笑顔に、こわばっていた表情がふと解ける。

「おはよう、太輔くん。どうしたの?」

急に朝から何の用だろう?と不思議に思い、たずねると、彼は少し恥ずかしそうな顔をしながら言った。

「…いや、あの、洗濯物を干そうとしたら、その、落ちてしまって…」
「?」
「さんの家のベランダに、俺の、ぱ・・・」
「ぱ?」
「ぱ、パンツ落ちてませんか?」
「・・・あ」

あ!あれは太輔くんのだったのか!
なんか急に私まで恥ずかしくなってしまった。

「お、落ちてた!落ちてた!誰のかと思って…」
「すいません、俺のです。取らせてもらっていいですか?」
「あ、いいよ、どうぞどうぞ。部屋散らかってるけど…」
「気にしませんよ、じゃあお邪魔します」

そういって彼は靴を脱ぎ綺麗に並べて、部屋に上がった。




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