第1章 出会い
「は、はい…」
「僕、営業の宮田といいます。」
「あ、はい、存じ上げております。」
「え!?本当ですか!?」
すると宮田さんは何故かガッツポーズをしている。
小声で、やった!という声も聞こえた気がする。
今の会話で喜ぶところあったかな?と頭にはてなを浮かべていると、
「あ、すみません、まさか僕の事知ってくれてると思っていなかったので…」
そういって照れる様子の宮田さんは何故かとても可愛く見えて。
つい、ふふっ、と笑ってしまった。
「あ、」
「え、あ、すみません、笑うなんて…」
人の事を見て笑うなんて失礼なことしちゃった、と思い謝る。
すると、宮田さんはまたも嬉しそうな顔で。
「いや、笑ってくれて嬉しいです。さんの笑顔を見ると、幸せな気分になりますね!」
「…!?」
まさかそんなことを言われるとは思っていなかったので驚き、
宮田さんが言った意味を頭で理解した途端、顔がボンッと赤くなった気がした。
その時、チーンと音が聞こえ、エレベーターの扉が開く。
その音に我に返り、表示板を見ると、私が降りる階についていた。
「「あっ…」」
二人の声が重なる。
私は急いでエレベーターから降りる。
さっと振り返ると、閉まりかけた扉の向こうに、笑顔で手を振る宮田さんが見えた。
なんて笑顔の似合う人なんだろう。
久しぶりに異性に対してのドキドキという感覚を思い出し、顔が火照る。
手にもっていたクリアファイルでパタパタと仰ぎながら、自分の部署に戻った。