第1章 出会い
他の部署での用事を済ませ、エレベーター前まで来ると、下へのボタンを押した。
近くの階にいたのか、わりとすぐに扉が開き、そのエレベーターに乗り込んだ。
そこに自分以外の人は乗っておらず、つい気が抜けて、はぁ、と大きめなため息を吐いた。
エレベーターの扉が閉まりだしたとき、目の前の廊下から走ってこちらへ向かってくる人が見える。
その人と私はばったりと目が合い、私は少し固まった後、エレベーターの開くボタンを押した。
閉まりかけた扉はゆっくりとまた開いた。
そこに、走ってきた人が乗り込んでくる。
「はぁ、はぁ…っありがとう、助かりました」
「い、いえ…」
その人は目を細め、綺麗に笑った。
何階ですか?と尋ねると、その人は、1階までお願いします、と息を整えながら言った。
この人、営業の宮田さん、だったかな?
乗り込んできた時、ふわっといい香りがした。
そしてその後の笑顔。久しぶりにドキッとしてしまった。
こんな感覚久しぶりかも…なんてことを考えていたら、急に宮田さんが言った。
「総務のさん、ですよね?」
驚いて後ろを振り向くと、また私にニコッと笑顔を向けている。