第2章 夜明け
窓を開けて気合いを入れる。
昨日曽川さんが残していったお金から3万を持ち家を出る。
ショッピングモール内のアナウンスを聞きながら歩く。洋服を4、5枚買ってズボンはジーンズを3枚。それから日用品も買った。本屋で漫画を見るが自分の知っている漫画がなく驚愕した。ちなみにカレンダーを買った時に恥ずかしさを押し込み西暦を聞いたので確かだ。奇跡的に見つけたのは国民的アニメ、ドラ◯もんとクレしんのみ。
今の西暦、1996年である。
1階に降りて出入り口に向かって行くと急に拳銃を突きつけられた。
「来るんじゃねえぞ、来たらこの女殺すぞ!」
「……」
さすがは米花町。自然な流れで人質にされてしまいました。
気が探れるということは近くにレイはいない。とはいえ必要性がない時以外は気を探らないし、使わないので後ろから来る犯人に気がつかないどころか気配を全く感じなかった。謎は解けた! とっさに私を掴み銃を突きつけたというところか。
「警備さんに貢献しますかあ」
「おい、だま」
ドスッと身体の叩きつけられる音がして床で伸びている犯人に微笑んだ。
警備員がすぐさま犯人を取り押さえ、やって来た警察に誤用となった。
私はバレないように人の波に紛れ事情聴取から逃走した。
「待って! 待ってください」
腕を掴まれ歩みを止められる。そして聞き覚えのあるこの声は……
静かに振り向けば、このアニメの主人公にしてもうすぐコナンという名の死神となる工藤新一(くどうしんいち)がいた。
「はい。なんでしょうか」
新一は走って来たのか肩で息をする。
「どうして行くんですか、お手柄なんですよ。貴女は犯人を捕まえたのにどうして逃げるんですか」
この男。なるほどだからコナンという偽りの姿が生まれたのか。
「逃げたわけではありません。関わりたくないからです」
「何故ですか」
(うん。クソめんどくせえ)
「君それ好奇心で聴いてるの? だったらやめたほうがいい、じゃないといつか君、大切な人を悲しませることになるよ」
「は」
私の腕を掴んでいる新一の手首を掴み言う。
「もうそろそろ離してくれるかなあ?」
「あ、ああ」
名探偵から逃げるようにして離れるが、なかなか視線が離れないので振り向いて見ると立ち止まったままこちらを見ている。だが誰かに呼ばれたのか視線が逸れてほっとした。