第2章 夜明け
下の階まで降りた恵理香は自分の部屋の番号の郵便受けを確認する。
いちいち下まで降りるの? めんどくさ。と心の中で呟きながら自分の部屋の番号の郵便受けを確認した。
505曽川
頷きながら歩き出す。
周りを見渡すと看板には米花と書いてある。
この名前はどこかで聞いたことがある。
あてもなく歩き続けるとある表札が見えた。近くまでより視線をぶつける。
工藤
(いやいや、偶然だよね、てか工藤なんて日本中にいくらでもいるし、ウチの中学校の担任の先生も工藤だったよ。こんなお屋敷は見たことないけど)
苦笑いつつ工藤の表札に背を向け足早に離れた。
ポアロの看板が見え上を見上げると毛利探偵事務所があった。一瞬にして目の前が絶望の色に染まる。
じっと探偵事務所を見ていると背に声がかかった。
「あのどうかなさいましたか?」
少し弾む声に振り向くと目をキラキラさせたこのアニメのヒロインである、毛利蘭(もうりらん)がいた。
「え、あいや、探偵事務所があるなあ。なんて」
「もしかして依頼ですか」
「えっ」
「あ、私の父探偵をやっているんですよ」
「えっいや、あの……」
蘭は嬉しいのかぐいぐい押してくる。
「あっ」
探偵事務所のドアを開けて私を招き入れようとするが身を引く。
「あ、いや、依頼じゃないんです!」
「え、ええーっ!」
蘭は私の話を聞いて声を張り上げた。
「本当にすみません」
一階まで降りた蘭は申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえいえ、気にしないでください。勘違いさせてしまって申し訳ないです」
「いえいえ、こちらこそ」
蘭は本当に良い子だ。
今のストーリーはどの辺りなのか、だがそんなこと聞くわけにはいかないだろう。関わらない方が自分のためであり、この世界で有意義に暮らしていける唯一の方法である。
危険人物
江戸川コナン、赤井秀一、安室通。
私が見てたのは、安室が黒の組織かもってコナンが怪しんだところまでしか見てない。
普通にバイトして金稼いで元の世界に戻る方法を考えることだけしか、私がこの世界で生きる意義がない。
蘭と別れマンションへ来た道を戻る。
霊感は抑えることができなかったのか抑えるしつようがないのか、そこら中にいる霊がはっきり見える。と言うよりあの青年から離れているせいか。もしくは、霊感にはリミッターが関係してないのか。