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名探偵コナン(光を抱いて)

第2章 夜明け


恵理香は立ち上がり玄関のドアを開いて外に出た。
階段の踊り場から外の様子を見てみるが何もわからない。
気を探ってみるとちゃんとわかることに驚きパチパチと目を瞬く。
力が使えないのはあいつのせいなのか。
もしもそうなのならば、どこの範囲まで離れれば使えるようになるのか、あいつが近くにいてどこまでの力を使えるのかを確認しなければならない。
中指と人差し指を立てて結界を発動させる。

「よし、これはできる」

次は壁に背を向け念糸を作り出し近くの壁に巻きつけ引っ張ってみる。

「うん。これも問題ないようだ」

左手を拳に変えて壁を殴ると簡単に凹んだ。凹んだ壁に手を当て修復術で治す。
顎に人差し指を当て考える。
玄関のドアを開け中にいるであろう制服の青年を呼ぶ。

「ちょっと来てくれる」

青年はきょとんと首をかしげるが彼の腕を掴み無理やり引っ張り出す。

「なっなんだよ、急に外になんか引っ張り出して」

気を確認するがやはり何も感じない。結界術は多少できるらしい。壁を殴ってみる。壁は凹んだ。

「これはふつうにできると」
「は? お前化け物だろ! 気も使わず肉体だけでそんなことできるわけ」
「うちボクシングヘビー級の力出せるから」
「お前、身長と体重は」
「身長は、155。体重は65」
「ボクシングってそんなハードなルールだったっけ」
「ちなみに男子が相手」
「あれ、ボクシングってデスゲームだったっけえ」

飽きれ顔をしながらドアに背をつく。

「で、なんで気が使えないの? 結界術もろくに発動しないし」

ボクシングの件はさほど重要じゃないと言うように無視して質問をする。

「さっきも言ったと思うがここはお前のいた世界じゃない。それにばんばん力を使ってもらっても困るし、面白くない。なので強制的にリミッターをかけた」
「なるほど。それがお前ってことか」
「その通り。だが、俺がお前にリミッターをかけるのはお前の為でもある。さっき確認したように、俺から一定の距離離れるとリミッナーは無効化される。これ以上は答えることができないし、答えるつもりもない。あとはじぶんで真実にたどり着け」
「ふーん。わかった」

恵理香はそう言ってドアを開け外に出た。

ベランダに出て青く晴れ渡る空をみる。青年は小さく溜息を吐いた。

「俺はまだ、そっちに行けないようだ」


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