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分からないだけ

第1章 出会いなんて唐突すぎて。


一期一振side

布団を敷き、弟達と一緒に寝る準備をする。


『そういうの、良いので…あまり好きじゃないので。』

頭の中で主の言った台詞が響く。

あの時の主の顔は物凄く嫌そうな顔をしていた…。
普通、女子にあのような台詞を吐けば誰だって喜ぶのに。


解せぬ。



「如何したのですか、いち兄?」


「何か考え事ですか?」


私の顔を前田と平野が覗き込んだ。


「ああ、否、大丈夫。何でもない。」


『本丸の皆さんも、私を女として見てないでしょう。』


「前田、平野。主を如何思っている?」


私が投げつけた質問に前田と平野は少し呆然として同時に口を開いた。


「「それはもう、唯の体を鍛えた可笑しな審神者として見ています。」」


まるで、当然の様な事を言ったように。

「まぁ主の顔は確かに美しいと政府で評判ですが、
主はまるで醜い塊を見るかの様な顔で言うんです。

 ̄私が美しいと思うなんて、随分と暇なんですね、政府も。 ̄

と、まるで普段の騒がしい主が言わなそうな台詞で。」


「何か嫌な思い出でもあるのでしょうか?」


嫌な思い出。


何か嫌な記憶でもあるのだろうか。


「でも勿体無いよね!あんな可愛い顔してるのに。
この前顔の良い政府の人間に告白されたのに、主ったら頬を叩いて断るんだもん。
見ていた皆吃驚していたよ!」


乱が私達の会話に入ってきた。

男の頬を叩いて断る。
嫌な思い出とやらは、男が関わっているのか?


「おい皆。」


其処で一振り。

薬研がこの会話に水を差したかの様に低い声で話してきた。


「もう寝る時間だぞ。
大将の事についての話はもう終わりだ。」


「主と薬研は何回か話している所を見たけど、なんか主の秘密とか握ってるんじゃないの~?」


「大将と俺が二人きりで話す時は大体皆に聞かれちゃ不味い事なんだ。すまねぇが俺は大将の秘密は話せねぇ。他を渡ってくれ。」


薬研が主と二人きりで話している?


「さぁ、寝るぞー。」


厚が灯りを消すと皆布団に入って眠りにつく。


……明日、もう一回聞いてみるか。


そういえば、如何して私は主に対してこんなに考えるのだろうか?



……



 ̄私が美しいと思うなんて、随分と暇なんですね ̄


私も、随分と暇なんだな。

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