第12章 ルカー繋がってふやけるー
ルカとアリスが共に生活を始めてちょうど半月。15日目の夜。ルカが夕食後に綺麗に盛り付けられたケーキを差し出す。
「え?…これ…」
「…すみれがここに来てちょうど半分の日だから…」
「…くれるの?私に?」
「…うん…まだ15日だし、出逢って短い期間だけど…俺と一緒にいてくれて、…ありがとう」
「っ、ルカ!ありがとう!すっごく嬉しいっ」
アリスの顔が笑顔で満たされていく。それを見たルカの耳は真っ赤だ。
「一緒に食べよう、ルカっ。ここに来てちょうど半分の日だからケーキも半分こっ、ね?」
「…うん。」
きゃっきゃっと笑いながらアリスとルカはそのケーキを半分ずつ食べて、いやアリスの方が少し多く食べて幸せな時間を過ごす。
そして、またルールの紙が光った。
「…ぁ…」
「…」
ルカが少し俯く。
「…ルカ…?どうしたの…?」
その様子にアリスが問いかける。
「…なんでもない…」
なんでもないわけないーールカは15日目の課題、半分の日の課題の事を知っていた。幼い頃から交換の約束の話は聞かされていたが特に特別とされていたのがこの課題である。つまりーー
はじめて繋がる日ーー
「…そっか…」
なんでもないと言われそれ以上は何も聞かないアリス。ルカはアリスにバレないように頭を軽く振って微笑んだ。
"15分触る"
課題の内容が知らされるも詳細がわからずアリスが紙に近付いて確認しようとする。でもそれをルカがやんわりと止めた。
「…るか?」
「……」
「…大丈夫?…なんか、おかしいよ?ルカ、具合悪いの…?」
いつもと様子の違うルカにアリスが心配そうに問いかける。
「…大丈夫だよ…」
「…ほんと?…でも…」
「…あの、すみれ、…聞いてほしい…」
「…ん?」
「…今日の課題、俺に全部任せてほしいんだ、」
「…」
「…すみれは何も考えないで、俺に全部、任せてほしい、」
「…まか、せる?」
「…そう。…俺を信じて、預けてくれます、か…?」
ルカの真っ直ぐな目がアリスを見つめる。アリスはその目を見つめて、いや見つめる前から決めていた。
「…わかった。…ルカに全部預ける。…信じてる」
その言葉でルカはアリスをそっと抱きしめた。
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