第9章 レイー目は強がりよりモノを言うー
翌朝ソファーで眠ったレイがアリスより先に目を覚ます。昨日気絶してしまったアリスをそっとベットへ寝かせ自分はソファーへ移動した。本当は隣で眠りたかった。でももし先にアリスが目を覚ましたらきっと怯えてしまうから。
「…きらい、か…」
気絶する直前に言われた言葉を思い出して苦笑する。思ったよりもショックを受けている自分に気が付いて大きく息をはいた。音を立てないようにベットへ近づくと小さく寝息を当ててアリスが眠っている。その顔はとてもあどけなく、でも息を飲むほど綺麗でほんの少し微笑んでいるようにさえ見える。
「…」
そっと頭を撫でる。起こさないように。
「…ごめんな…」
髪をすくように優しく
「…なぁ、なんで、きらい?」
髪を撫でていた手が自然と頬へ移動する。
「…おれ、お前のことずっと待ってたのに…タイプじゃねぇとか?…それともやっぱ、無理矢理キスしたからか?…それは謝るから、ちゃんと俺のこと見てくれよ…」
いくら話しかけてもそれはアリスには届かない。
「…ん、…」
その時眠っているアリスがくすぐったそうに身じろいだ。そして眠ったまま微笑んでレイの指へ甘えるように頬をすり寄せる。
「…れ、い…」
ふふっ、と微笑んでそしてそのまままた深く眠りに落ちる。
「っ、?!」
起きたのか、と一瞬驚いた。でもそのあと聞こえてくる寝息は規則的でレイは安心しつつも少しガッカリした。
「っんだよっ、もう…」
寝てる時はこんなに甘えてくるのに。
「あーっ、」
ガシガシとアタマをかいてベットから離れる。
「なんなんだよ、もうわかんねぇよ…」
眠っているのに自分の名前を呼んで微笑んだアリス。でも昨日は嫌がるどころか目も合わせてくれなかった。キスをしていても口を閉じたままずっと拒絶され続けていた。
それに「きらい」確かにあの時アリスは呟いた。
「…俺が運命の相手じゃ不満か?…なぁ?」
一度ベットから離れたが再びそっと近づく。幸せそうに眠るアリスにレイは我慢できず一つキスをした。愛しさが湧き上がってくる。耐えきれなくなってレイは慌てて離れるとそのまま部屋を出た。
そして昨日怯えさせてしまった懺悔にルールの紙が光るまではアリスとの接触を避けようと一人心に決めるのであった。
next.