第3章 ルカーキスでふやけるー
アリスが力なく首をふる。
「…もう、やめて、いいよ、るか…」
「っ、ちがうっ、すみれ、聞いて、60分終わったら、もう一度ちゃんと説明するから、っ…だから今は唇を離さないで、」
アリスはいや、と下を向いてしまう。ルカは優しく頬を包んで唇を押しつける。嫌がるアリスに早く誤解を解きたい思いと可愛いこの子と唇を重ねてるのにそれ以上はできないもどかしさでルカの方もいっぱいいっぱいだ。嫌がれてルカの心臓が軋む。
「…っ、るか、っ」
アリスがルカの目を見つめて。
「るか、ちゃんとキス、してほしっ…」
その目は涙でいっぱいで、ルカの決意を鈍らせる。
あと3分。
耐えれば終わる。
でも。
「…、るかが、ちゃんとキスしてくれないなら、もう、いいっ」
アリスが両手で自らの口を覆い下を向く。
「っ、すみれっ!、唇を離しちゃダメっ!もう1時間は耐えられないでしょっ?…それに気絶しちゃったら辛いのはすみれだからっ、」
「…、キスできないなら、っ罰の方が、いいっ」
華奢な肩が震えてる。
「…ねぇ、るか、気絶しないように、がんばるからっ、…だからっもう1時間、ルカとキスしたい…のっ、」
小さな声で
「…おねがいっ…るか、キス、っ…ルカは、いや…?」
涙を溜めた大きな目に見つめられルカは息を吐いた。
あと10秒。キスをしなければまた最初からだ。
3
この子は。
2
わかっているのだろうか。
1
本当はルカだってずっとキスをしていたい。この子のためを思ったつもりだったのに。
ルールの紙がヒカル。
ーーもう一度、最初から1時間。
だめだとわかっていて唇を押し付けることができなかった。あんな風にキスをねだられて断れる奴がいるのだろうか。いや、いないと思う。
そんなルカを尻目にアリスが唇を覆っていた両手を離す
「…ごめん、なさい…」
「っ、」
「…おこって、る…?」
「…怒ってるよ。…あんなに、我慢したのに、」
ルカがアリスを見つめながら不貞腐れた様子で伝える。
「キス、したくないわけないでしょっ」
ルカは言えなかった言葉がアリスへ告げた。アリスはその言葉で安心したのかふっと微笑んだ。
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