第4章 D
「マスター。これだけのサーヴァントがいるのだ、一気に畳みかけるほうが有効だと思うが」
「そうだね」
カルナの脇に抱えられたまま戦況を見回すと、各自各々のタイミングでの攻撃を仕掛け、一点集中という点において非常に無駄な動きをしているように見える。守りに徹しているアーチャーに至ってはほとんど攻撃に力を回せていない。
「カルナさん。このまま私を抱えていてもらえますか?」
「問題ない」
「守りを捨ててすべてを攻撃に回します。町を少しぐらい壊したって、もう誰も咎めないでしょ」
大切な令呪を使ってまで助けてくれたのだから、と令呪のある右手を伸ばした。
「令呪をもって命ずる。街のことなんか気にしなくていい、宝具を展開してあいつを倒して!」
消費するのは二画。彼ら三人の宝具が展開されていくのが肌で分かった。
「ありがとうカルナさん。あの高台におろしてください」
少し渋る様子を見せたものの、藤丸へ目くばせし了解を得てから三人は高台に降り立った。
「二人はもう少し遠くへ行っていたほうがいいと思います」
「大丈夫。カルナがいるから」
「それでも……」
「君もいるから。デミ・サーヴァント実験のきっかけになった英霊と人間のハーフのリシェさん、で、間違いないよね?」
「は、え? なんでそれを!」
振り返ったリシェの後ろから、爆風が襲い掛かった。ほとんど無意識のうちにただの人ではありえない筋力で踏ん張っていた。藤丸はもちろんカルナが守っている。
爆風とともにリシェのサーヴァントたちも戻ってきた。
「もちろん、シャドウサーヴァントを倒すためにレイシフトしてきたんだけど、君に会うためでもあったんだ。会えてよかった、これで縁が結ばれたと思う」
「……カルデア式召喚システム?」
「そうだよ。えーっと、言うまでもないと思うけど」
「言う必要はないわ。この世界は剪定済み。ここに残った聖杯とこの地に残ったシャドウサーヴァントの魔力で、ほとんどループを繰り返しながら私の妄想のような形で繰り返されている。でも、ここにいるサーヴァントたちは本物よ、理解もしている。剪定される前の主従ごっこに長々と付き合ってくれているの。……聖杯は渡せない」
「そういうと思ってた。だから無理やりにでも縁を結びに来たんだよ。おいでよ、カルデアに」
「 」