第4章 D
それからはずいぶん静かな時間を過ごした。
リシェは即席で工房を確保し、ためていた材料で聖晶石の制作にかかる。アルトリアはマスターのそばでそれに手を貸し、集中している二人を守るようにクー・フーリンが寝ずの番をする。
ギルガメッシュはリビングのソファに陣取ったまま目を閉じ聖晶石に魔力を貯め、そんな彼らを見守りながら、エミヤは休まずキッチンに立ち彼らのご飯を作り続づけた。
『いただきます!』
夕食時、凝り固まった身体を伸ばしながら皆テーブルに着いた。
「おいしそう! さすがエミヤ!」
「おいしそうです。特にこの唐揚げ、とても良い香りがします」
「たくさんあるからな、ゆっくり食べろ。こぼさないようにな」
エミヤの注意もそっちのけで、リシェとアルトリアはエミヤの料理にかぶりつく。
「明日にはここを離れられそうか? 金のアーチャー」
「問題ない。離れてもよいが、このハウスはこのままにしておいてやろう。好きに使うがよい」
「助かる。マスターは進捗のほうはいかがかな?」
「これの完成待ってたら何か月もかかっちゃう。だから、いつでも動けるよ」
現況を突き止めこの事態を突破する準備はそれなりに整ったといっても過言ではないだろう。
今夜はみなしっかりと体を休めることに精を出し、明日からのことへ備え身の回りの物を整えている。
リシェは変わらず聖晶石の制作に集中しており、それを手伝うのはクー・フーリン、見張りを務めるのはエミヤ。アルトリアはお風呂だ。
「ありがとうクー・フーリン。今日はここまでにする」
「おつかれさん。じゃあ外の見回りでも行ってくらぁ」
バキボキと背中を伸ばしながらクー・フーリンは外の空気を吸いにでる。
「マスターも、セイバーが風呂から上がったら次に入るといい」
「うん、だけどその前に工房を片付けようと思う。手伝って」
「もちろんだとも」
簡易の物を使って組み立てた工房。リシェ自身が持ってきたものなどたかが知れていて、それらをカバンに突っ込めば、あとはこの家のあった場所へ戻せば片付く。