第3章 C
「おーい。起きろよ、ついたぞ」
風で冷えないようにと二人一緒に包まっている毛布が少しだけもぞりと動く。
「マスター、セイバー」
応答なし
「昼飯! おべんとう!」
「はい!」
「やったー!」
「……現金な」
クー・フーリンが毛布をめくるより早くリシェとアルトリアは毛布を跳ね飛ばし、一目散にハウスの中へ飛び込んでいった。
「ったく、犬かよ」
クー・フーリンはため息一つ、二人を追いかけハウスの中へ。
「クー! なくなるよ」
「いいよ別に。もうここは霊脈だしな、魔力は足りてる」
「いいの? エミヤのお弁当おいしいよ? 食べちゃうよ? あーんする?」
「…………あーん」
エミヤが目を細め、それはするのかよ。と眉をひそめた。
「のんきに飯もいいが」
「いないわけがあるまい。さあ、お手並み拝見と行こうか」
「んー、まだ途中なのに。セイバー、ランサー」
「はい」
「おう」
ガタリと全員そろって椅子から立ち上がり、サーヴァントたちは霊衣を鎧や戦闘服へ戻す。
「では、マスターは我と居れ」
「はい、よろしくお願いします」
警戒しながらも物腰柔らかに飛び出していったのはセイバー。それに続いてランサーが敵意むき出して出ていく。
赤のアーチャーと金のアーチャーはマスターをはさんで慎重にハウスの外に出る。
「……キャスター」
そうつぶやいたマスターに、白いキャスターはやさしく微笑みかけた。
「忠告に来ただけさ」
敵意のないキャスターを前に、一つも警戒を解かずにネコのようにキャスターをにらみつけるセイバー。
「いろいろと語り合いたいのはやまやまなんだけど、それどころじゃないんだ。相手は厄介だよ? 大切なマスターを取られないようにね?」
瞬きをした次の瞬間にはキャスターは花を数個残していなくなっていた。力を抜き武器をしまうサーヴァントたち、しかしセイバーだけは切っ先を下ろしたままキャスターの行く先を思案しているのか、遠くを見ていた。