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Fate/Dream

第2章 B



「最後の最後でようやくだな。少し遠いが、明日ここへ向けて出発しよう」
「うん。態勢を整えて、敵が何なのか、見方はどうなっているのか、探りましょう」
「と、いうことで。俺も少し疲れたようだ、魔力を分けてもらえるかな?」

 強引に、でもそっと。リシェがアルトリアにしたのとは違う魔力供給を。
 立ち上がったエミヤはリシェのうなじにそっと手をかけ、強制的にその唇を奪う。しかし触れ合う唇は柔らでやさしく、愛しいものを愛でるキス。リシェが空気を求めて喘いでも、離れず唇をはむ。

「んっ、はぁ」

 先のランサーのセリフ。「(人前では)せいぜい握手ってところかな? マスター?」言わなかったものの、クー・フーリンの言葉にはそう含まれていた。
 なにもメインサーヴァントにしか魔力を与えないわけではない。マスターとしてセカンドにもサードにも急な魔力供給が必要な場合は分け与えることはある。ただ手を握って集中すればいいだけなのだが……。
 サーヴァントとマスターの関係は依存に近い状態になることがある。ただ使い魔とその主人という関係を貫いているマスターも居れば家族のように接するマスターも、恋人同士のように接するマスターもまたいる。
 アルトリアたちはまた特殊だ。サードまでいるうえ、エミヤがセカンドに収まった理由も、クー・フーリンがサードになった理由も三人それぞれ違う。マスターとのかかわり方も三者三様だ。

「すまないマスター、つい」
「……むぅ」
「フフ、そう拗ねた顔をするな、俺もたまにはマスターを独り占めしたくなる。褒美をもらっても文句はないだろう?」
「じゃあ、今日の夕食はオムライスがいい」
「わかった。マスターにもご褒美だな」

 マスターの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわし、夕食の支度をするため部屋を後にした。

「アーチャー。きさま探索にかこつけてイチャ付きたいだけだろ」
「さぁ、何のことだか。お前もご主人さまからご褒美が欲しければ、お役に立たねばな」
「ふん。言ってろ」

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