Instead of drink 《テニプリ越前 リョーマ》
第3章 夕暮れ
それを聞いては違う何も言ってないと反撃しそうになったが、ゆっくりとブランコに座るリョーマの前に歩幅を進めた。
目の前で見下ろした位置にリョーマがいる。
顔を上げてを見ている。学ランのカラーから少し見える白いシャツ。そこからのぞく素肌。心臓が痛い。
どうしてこの人はこんなに…
「気になったんでしょ」
先程の問いをまた問われた。
そう。気になった。とてもとても気になって気になって仕方なかった。
はこくりと頷き両手で顔を覆った。
もうだめだ、止まらない。リョーマにすべて言ってしまう。
私の醜くて薄汚い感情を。
妬みと嫉みにまみれた私のみすぼらしい感情を。
「嫌だったの、リョーマくんが桜乃ちゃんと2人でいるのが嫌だったの、リョーマくんが桜乃ちゃんのこと好きなんじゃないかって、好きになっちゃうんじゃないかって、気になって気になって嫌で嫌でたまらなかったの」
一度吐き出したそれはもう本当に止まらなかった。今までの不安やコンプレックス、それがすべて言葉となり目の前のリョーマに夕立のように降っていく。
「私は年上でかわいくなくてスタイルも良くなくてそれなのにリョーマくんのことを好きになってしまって、同じ学校で同じ制服を着てリョーマくんと一緒にいる桜乃ちゃんが羨ましくて、私嫉妬して」