【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第16章 脱出※
ひたすら走った
何処を走っているかも
道も何もわからない
何かで足を切って
血が滲んでも
それでも走った
息が切れて
路地裏に入り
少し休憩する
ふと上を見上げると
建物と建物の隙間から
星空が広がっていた
『……綺麗』
もっと広い景色を見たくって
近くにあったビルの
非常階段を登った
屋上に出ると
燦然(さんぜん)と輝く星々が
広がっていた
『うわぁ…』
と、その時後ろから声を掛けられる
キ「こんな夜更けに
天体観測ですか?お嬢さん」
後ろを振り返ると
白いマントに身を包んだ
見たことのある人が立っていた
『き、キッド…』
スッと彼は私に近づいて来て
私の手を取ると手の甲にキスをした
その一連の動作に驚いていると
キ「おや、裸足でこんな所を歩いていたら
綺麗な足が汚れてしまいますよ」
そう言って、私を軽々しく
姫抱きしてきた
『えっ…ちょっ』
キ「どうやら迷い子の様ですね
お家は何処ですか?」
『べ、米花町の…
工藤新一くんのお家…』
キ「…あの名探偵の…
送ってやるから
しっかり掴まっとけよっ!」
そういうと軽やかに
ビルの屋上から飛び降りる
そのままバサッと
ハングライダーを広げ
空を飛んだ
『うわぁああっ!』
ぎゅっと目を瞑って
キッドにしがみ付く
空を飛びながら
なんでここまでしてくれるのか
ふと、疑問に思った
『なんで、ここまでしてくれるの?』
キ「これ以上、お嬢さんの足が
汚れない為ですよ」
すーぐキザな事を言う
『…ありがとう』
そういや、ミステリートレインで
キッドにお世話になったんだっけ…
『あと、ミステリートレインで
哀ちゃんを助けてくれてありがとう』
すると驚いた様子のキッド
キ「あの、探偵坊主に言っとけ
あれは貸しだからなっ
ほら、着いたぞ」
工藤邸の前に着地すると
ゆっくり降ろしてくれた
『本当にありがとう』
キッドは手から
赤いバラの花をポンっと出して
それを私に渡してきた
キ「では、また
燦然と輝く星の下でお会いしましょう」
再びキザな台詞を吐いて
その場を離れていった