【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第71章 暗闇※
医者が言うに
目を覚ましたのは
奇跡に近いとのこと
ベルモットに毒を盛られた日
降谷さんがベルモットの怪しい動きを見て
後を付けていたらしい
それで私の救助が早くて
助かったみたいだけれど
その後、1週間も私は眠ったままだった
投与された毒薬の影響で
視力は一時的に低下。
体も自由に動かす事は
出来なくてリハビリの毎日
回復の兆しが見えるまで
入院を余儀無くされた
秀一さんは私に付きっ切りで
リハビリや身の回りの事を
手伝ってくれたりする
降谷さんは秀一さんが
必要な物を家に取りに帰ったり
私の側を離れる時に
交代で会いに来てくれた
体も少しずつ動かせるように
なってきた頃、
秀一さんが呟く様に言葉を発した
視力はまだ回復していなくて
右側から聞こえる秀一さんの声を聞いて
そちらを向いた
赤「…10年前に、
会った様な気がするんだ
…いや…あれは夢だったはずだ
10年前の葵は
まだこちらの世界に来ていない…」
私は一週間眠っていた間
夢の中で10年前の世界にいた
それが実際この時系列の中の
10年前だとしたら…
急に頭の上にぽんっと
何かを置かれて肩がびくっと跳ねた
赤「あ、すまない
びっくりさせてしまったな」
頭の上に自分の手を持っていくと
それに触れて温もりを感じる
直ぐに秀一さんの手だと分かり
頭から引き剥がして
骨張った大きな手を両手で握った
『秀一さん…私、不思議な
体験をしたのかもしれません…』
あれはただの夢じゃなくて
私が時空を超えて
過去にダイブしていたとしたら…
秀一さんと答え合わせをする様に
眠っていた間に見た夢の話をしていく
赤「まるで運命の巡り合わせだな
愛おしさが増すばかりだ…」
そっと片頬に温もりを感じる
その温もりは私の顔を滑り
顎を掴んでクイッと上を向かす
赤「キスをしても…?」
耳元で囁かれる声に
びくっくりしながら
その問いに答えた
重なる唇
何度もした変わらないキスに
胸がきゅっと熱くなった
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