【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第70章 さざ波の夢
ガヤガヤと騒がしい音で
意識が覚醒する
ゆっくりと瞳を開ければ
照り付ける眩しい太陽が
目を刺激した
目を細めて辺りを見回す
『…あれ…ここ何処……海?』
ちゃぷちゃぷと
足にかかる水…
水着を着て波打ち際ではしゃぐ男女
浮き輪でぷかぷかと遊ぶ子供
それを微笑ましそうに見る両親らしき人
視界を180度回転させると
海の家と書かれた看板の下で
暑さに負けじと
鉄板の上で焼きそばを焼く男性
どうやら此処は海水浴場らしい…
私は一体…何をしていたんだろう
その場に立ち尽くしたまま
思考回路をぐるぐる巡らせた
…そうだ、私
ベルモットに毒を盛られて…
彼に"良い夢を"と…
そこまで状況は整理出来た
てことはこれは彼が見せている夢…?
にしても、妙にリアル…
そう思いながら
自分の頬をつねってみた
『…痛い…』
それにしても暑い。
私は何処か木陰を探して
辺りを見回し
海水浴場の端にある
木の下まで移動しようと歩みを進めた
何故だか靴を履いて無くて
太陽に焼かれた砂浜は
物凄く熱いから波打ち際を歩きながら…
着ている服は
残念ながら水着では無く
ワンピース一枚。
折角の海なのに
これじゃあ、泳げないな…
なんて、呑気な事を思ったりして。
木陰まで移動した頃に
ふと、ある事に気がつく
視界が高い…
私は視線を下に降ろし
自分の手を眺めた
『大人の姿に戻ってる…』
夢の中だから…かな。
木の下で腰を下ろして
広い海を眺めた
これ、どうすれば
夢から覚めるのかな…
早く目を覚まさなければ
いけないのに
どうしたらいいのか分からなくて
膝を抱え込んだ
『…秀一さんに会いたい』
ぽつりと呟いた瞬間
ザパァン!と大きな音が聞こえて
ハッと顔を上げる
まさか…
突き破られたガードレールの
真下の海は大きな水しぶきを
上げていた
何処かで見た事のある光景に
息を飲む
直ぐにそれは
この世界に来る前に漫画で
見た光景と重なった
もしかして…
私が今見ている夢は
10年前のさざ波編……?
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